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動画で気づいた恥ずかしい姿

動画で気づいた恥ずかしい姿

友人たちとバーベキューをした。

久しぶりに集まったメンバーで、昼から肉を焼いて、ビールを飲んで、くだらない話で笑った。

誰かがスマホを向けていたのは知っていた。

でも、写真を撮っているくらいにしか思っていなかった。

翌日、グループLINEに動画が届いた。

「昨日のまとめ(笑)」

開いてみる。

肉を焼く友人。

ビールを持って乾杯する仲間。

酔って踊っているやつまでいる。

笑いながら見ていたら、自分が映った。

白いTシャツ姿で、トングを持って肉を焼いている。

そこで指が止まった。

「え……。」

思わず画面を戻した。

もう一度見る。

正面を向いた瞬間、胸元がはっきり目についた。

乳首の形が、思っていた以上に出ている。

恥ずかしくなった。

誰かに指摘されたわけではない。

コメントにも何も書かれていない。

なのに急に、

昨日、みんなからこう見えていたのか。

そう思った。

鏡の自分と、動画の自分は違っていた

普段、出かける前には一応鏡を見る。

髪。

顔。

服。

全身をざっと確認する。

あの日だって見た。

白いTシャツも普通だった。

特に問題があるとは思わなかった。

でも、鏡を見る時間なんて数秒だ。

しかも自分が一番よく見える姿勢で立っている。

背筋を伸ばし、正面を向き、無意識に服を整えている。

動画の中の私は違った。

腕を上げる。

前かがみになる。

笑いながら体をひねる。

汗をかいたTシャツが肌に張りつく。

動くたびに生地の表情まで変わっていた。

そして何より嫌だったのは、

胸元が目立っていたことだけではない。

自分だけが、それに気づいていなかったことだった。

急に昨日の場面を思い返した。

女性もいた。

初対面の人もいた。

あのとき。

このとき。

頭の中で勝手に巻き戻しが始まる。

「誰か気づいてたかな。」

そう考えたら、だんだん居心地が悪くなった。

動画を削除したところで、昨日の自分が消えるわけではない。

スマホを伏せた。

たかがTシャツのことなのに、しばらくモヤモヤが残った。

欲しいのは、カメラを避ける自分じゃない

次に同じメンバーで集まったとき、

友人がスマホをこちらへ向けた。

一瞬、体が反応した。

胸の前で腕を組む。

少し横を向く。

「あ、動画やめて。」

冗談っぽく言った。

友人は、

「なんでだよ。」

と笑う。

私も笑った。

でも、内心では全然笑っていなかった。

前回の映像を思い出していた。

その瞬間、自分でも嫌になった。

楽しい時間なのに、カメラの位置を気にしている。

撮られるたびに姿勢を変える。

あとで映像を確認する。

こんなことを続けたいわけではない。

そもそも、欲しかったのは

「うまく隠せるようになること」

ではなかった。

何も考えずに笑っていたい。

突然スマホを向けられても、そのままでいたい。

あとから送られてきた映像を、普通に楽しみたい。

その方がずっといい。

写真なら、一瞬だけ姿勢をつくれる。

けれど動画には、その人の普段の姿が出る。

だからこそ、撮られ方を研究するより、

撮られても困らない状態にしておく方がラクなんじゃないか。

ようやく、そう考えるようになった。

白いTシャツをやめるのではなく、その下を変えた

最初に考えたのは、

もう白いTシャツを着るのをやめよう、だった。

黒なら目立ちにくい。

厚い生地を選べばいい。

少し大きめのサイズにする手もある。

でも、なんだか納得できなかった。

白いTシャツが嫌いになったわけではない。

むしろ好きだ。

胸元が気になるという理由だけで、着る服を変えるのも違う気がした。

そこで見直したのが、中に着るものだった。

今までは、

「どうせ見えないし。」

と適当に選んでいた。

けれど、汗をかいたときのこと。

上の生地への響き方。

首元からのぞかないこと。

胸のラインを拾いにくくすること。

そんな視点で選んでみると、同じ白いTシャツでも着たときの印象が変わった。

そして数週間後。

また友人たちと集まった。

途中で誰かがスマホを向ける。

私はビールを持ったまま笑っていた。

前のように腕を組むこともなかった。

撮影されていることさえ、途中から忘れていた。

翌日、またグループLINEに映像が届く。

少しだけ緊張しながら再生した。

自分が映る。

笑っている。

しゃべっている。

肉を食べている。

それだけだった。

最後まで見てから、スマホを置いた。

前回のような嫌な気持ちは残らなかった。

むしろ、

「昨日、楽しかったな。」

と思った。

本来、残したかったのはこちらだったはずだ。

動画は、ときどき自分が知らなかった姿を見せてくる。

そこで落ち込んで終わることもできる。

映らないように逃げることもできる。

でも、気づいたなら、一つ変えればいい。

カメラを避ける方法を覚えるより、避けなくていい自分でいる。

次に動画を見返したとき、

服のことではなく、

その日の笑い声を思い出せるように。

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