夏休み。
久しぶりの家族旅行で、海へ行った。
青い空。
きれいな海。
子どもたちも楽しそう。
「せっかくだから写真撮ろう!」
近くにいた人にスマホを渡して、家族みんなで並んだ。
帰りの車の中で写真を見返す。
いい写真だ。
子どもたちは最高の笑顔。
妻も楽しそう。
そして、お父さん。
……惜しい。
とても惜しい。
お父さんの白Tシャツだけ、妙に正直だった
別に変な服を着ているわけではない。
白いTシャツにハーフパンツ。
夏らしくて爽やかだ。
髪型だって悪くない。
笑顔もいい。
なのに、なぜだろう。
どうしても胸元に目がいってしまう。
海から吹いてきた風のせいなのか。
少し汗をかいていたせいなのか。
白いTシャツがお父さんの胸元を、想像以上に忠実に写し出していた。
「お父さん、これ……」
妻が笑う。
「何?」
「いや、いい写真なんだけどね。」
その「けど」が気になる。
スマホを受け取って拡大する。
なるほど。
これは確かに、惜しい。
家族写真は何年も残る
普段なら、それほど気にしなかったかもしれない。
Tシャツなんて毎日着るものだし、家族の前ならなおさらだ。
でも、写真となると話は少し違う。
今年の夏の一枚は、来年も見る。
5年後にも見る。
もしかすると、子どもが大人になってからも見る。
「あの旅行、楽しかったね。」
そんな話をしながら、何度も見返すかもしれない。
だからこそ、お父さんは思った。
もう少しだけ、どうにかできたんじゃないか。
高級な服を着る必要なんてない。
白Tシャツ一枚で十分。
ただ、その一枚をもう少しかっこよく着られていたら。
この写真、かなり良かったのに。
来年の家族写真は、きっと惜しくない。
夏の写真は少し厄介だ。
汗をかく。
風が吹く。
服が薄い。
その場では気づかなかったことまで、写真はしっかり残してしまう。
だから、来年の夏休みは少しだけ準備をすることにした。
白Tシャツの下に、乳首浮きを目立ちにくくするインナーを一枚。
POCHILESSを着ておけば、胸元まで気にして写真を撮る必要はない。
帽子。
日焼け止め。
サングラス。
そしてインナー。
夏のお出かけの準備に、ひとつ追加するだけだ。
今年の家族写真も、もちろん大切な一枚。
ちょっと惜しいお父さんも含めて、いい思い出だ。
でも来年は。
青い空。
きれいな海。
最高の笑顔。
そして――
かっこいいお父さんで写ろう。